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1.由 来
ここ利島村には20万本以上の椿が存在し、その結果、本村は椿油生産量日本一の島として、その名を知られている。しかし、伊豆諸島においては、本村に限らず、椿は古くから存在し、それから搾油される良質の椿油は、伊豆諸島各島における重要な産業資源として確固たる地位を築いている。
では、なぜ伊豆諸島にはこれほどの多くの椿が存在しているのだろうか。大島町史<自然編>によれば、最近1500年〜1600年前の椿の葉の化石が発見されたことから、椿は伊豆諸島に自生する植物であったことがわかる。この古代椿が悠久の時を経て、次第に現在のヤブツバキへと変化していったものと考えられている。利島村では、江戸時代に冬季の強烈な西風から集落を守る防風林を生成するという生活上の必要性と、江戸幕府の要請により当時需要が高まった椿油を本土へ供給する目的により、長い年月を要して大規模な植林が行われた。その結果、利島は島全体が椿で一面を覆われた、世界的にも類例のない「椿の島」となったのである。
2.椿の種類
椿は日本列島の海岸沿いをはじめとする温暖な地域に広く育成している。椿には、ヤブツバキ、サザンカ等約200種類があるといわれている。伊豆諸島に分布しているのは、ヤブツバキといわれる種類である。ヤブツバキの特徴は葉は濃緑色楕円形で、厚く光沢に富み、まばらな鈍鋸歯がある。花弁は真紅であり、観賞用の椿のように、白と赤のまだらの花ではない。椿油をもっぱらの目的とする島の椿には、実用本位な趣がある。
しかし、本村は約4平方kmという非常に小さな島であるにもかかわらず、そこが一面20万本もの椿林で埋め尽くされているため、毎年2月下旬〜3月頃にかけて、一面に咲いた花が地面に落下する頃になると、俗に「椿の絨毯」と称されるように、地面が椿花で敷き詰められた独特の美しい光景が展開する。