神社を巡る
利島は人口約300人の小さな島ですが、島内に7つの神社と1つの寺があります。
「神社明細帳」という古文書によると、利島は事代主命(ことしろぬしのみこと)の王子である
阿豆佐和気命によって創られたとされ、集落内の西側に明神様として祭られています。
また集落内の東側には、永正年間(1505年)に建立された日蓮宗下田本覚寺の末寺である長久寺があります。
島民は大変信仰が厚く、厳しい自然の中、みんなで寄り添うように生きてきた歴史があります。
阿豆佐和気命(あずさわけのみこと)神社
島内にある神社の中でも最も規模が大きく、村の氏神として崇められ、「明神様」と呼ばれて親しまれてきた古社です。神社自体の創設年代は不詳ですが、社殿は1760年に建造されたと伝わる利島最古の建物です。年末の大みそかの夜には、神社関係者が集まり式典が住むと狛犬の脇の焚火を囲み、0時に太鼓が鳴り出すと、子どもの代表が「ジックワ!」と叫ぶのを合図に点火され、全員で「ジックワ火の歌」を歌います。歌い終わると鳥居の外で待っていた村民たちが一斉に境内に入り、初詣を行うのが島民の慣習となっています。このことは阿豆佐和気命神社が昔から島の信仰の中心になっていたことが伺えます。
堂山(どうやま)神社
集落内で一番山よりの都道沿いにあります。創建については不詳ですが、明治初期に、それぞれ私宅に祭ってあった神々を合祀して設立したのが堂山神社です。様々な神様を合祀していますが、この中に阿豆佐和気命が入っていないのが興味深いです。平成4年の発掘調査では四面の銅製和鏡や銅銭などが発掘されました。この和鏡については、12世紀後半か、13世紀前半から約300年に渡って祭祀のためにつかわれたと推定されています。これまでに発見された多くの和鏡などは、利島村郷土資料館で展示されています。
八幡(はちまん)神社
阿豆佐和気命神社から海側に下がった発電所の隣りに、森と崖に囲まれたところにあります。伊豆諸島で唯一の流鏑馬神事を行う場所で、元旦の朝に阿豆佐和気命神社を出た一行が八幡神社へ下り、12~13畳ほどの石畳の上で2人の的衆が大的に向かって交互に112本の矢を射ます。豊作豊漁や無病息災を祈願するものだが、当たった矢の数が的の山側に多ければ豊作、海側に多ければ豊漁が約束されると言われています。また利島の流鏑馬は、馬に騎乗せず歩射であることが大きな特徴と言えます。
山廻り
正月三が日は、山廻りの日です。山廻りとは、米とお神酒を持って、一番神様、二番神様、三番神様の順に参拝して、お供えをします。南ヶ山貯水池の手前約100mのところにある阿豆佐和気命本宮が、一番神様。ここから少し歩いたところにある大山小山神社が二番神様。三番神様である下上神社はウスイゴウ園地の下にあり、阿豆佐和気命の妃を祀っています。正月三が日に行われる山廻りは、昔ながらの島の生活と素朴な信仰をたどる道ともいえるでしょう。昔はみんな歩いて廻ったものですが、今では自家用車でお参りする人がほとんどになりました。
観光に関するお問い合わせ
利島村役場 産業観光課(利島勤労福祉会館 内)
電話 04992-9-0046
開館時間 9:00〜18:00(月曜日休館)